Date: 11月 8th, 2012
Cate: 「ルードウィヒ・B」
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「ルードウィヒ・B」(その6)

手塚治虫のマンガのなかで、音楽についての作品はいくつかあって、
たぶん有名なのが「雨のコンダクター」であろう。

FMレコパルに1974年に掲載されているので、
内容までは憶えていないけれど、読んだ記憶はある、という方はいらっしゃるだろう。

「雨のコンダクター」にはふたりの実在の指揮者が登場する。
ひとりはオーマンディ、もうひとりはバーンスタインであり、
「雨のコンダクター」ではオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団によるチャイコフスキーの1812年、
バーンスタイン指揮ニューヨークフィルハーモニーによるハイドンのミサ曲第九番「戦時のミサ」が描かれている。

オーマンディの演奏はケネディセンターホールで、
バーンスタインの「戦時のミサ」はワシントン大聖堂で行われ、
オーマンディによるコンサートは、ニクソンの大統領就任記念のためのもので、
バーンスタインによる「戦時のミサ」はベトナム反戦コンサートのためのものである。

「雨のコンダクター」は、このふたつの対比的なコンサートの模様を描いている。

クラシックについてほとんど知らない人が読んでしまったら、
オーマンディのレコードを聴きたいと思う人はいなくなるんじゃないか、と思えてしまうほど、
手塚治虫によるバーンスタインは、かっこよかった。
音楽を演る男のかっこよさがあった。

1974年の掲載だから、私が読んだのは何かの単行本に収められたものであった。
それでも10代のうちに読んでいる、と記憶している。

この日のバーンスタインの演奏は録音されていないようだが、
翌日の録音によって「戦時のミサ」は聴くことができる。

しばらく廃盤だったようだが、今年前半に発売になったバーンスタインのハイドン集(12枚組)に収められている。

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