the Review (in the past) を入力していて……(その35)
「音で苦労し人生で苦労したヴェテランの鋭い感覚でのみ作り出すことのできる、ある絶妙の味わい」なんてものは、
しょせん、そのアンプ固有の色づけなのだから、そういうものをアンプには求めない。
求めるのは、極力色づけのない、高性能なアンプという人もいるだろうし、
だからこそ、いくつものメーカーが成り立っているし、競い合ってもいる。
つまり、どちらのアンプが優れているか、という問題ではない。
どちらのアンプを求めるか、の違いがあるだけだ。
私は、というと、「ある絶妙な味わい」のアンプに惹かれる傾向がある。
それも、ヴェテランの鋭い感覚による絶妙な味わいよりも、
どこかに未完成さを残している、初々しさが感じられる絶妙な味わいに、ころっといくことがある。
だからクレルのPAM2とKSA100の音に惹かれたのだし、初期のマークレビンソンのLNP2、JC2にもそれを感じる。
スレッショルドのデビュー作、800Aの、底力を秘めた、どこか清楚な感じのする音も魅力的に思っている。