ある写真とおもったこと(その7)
iPodで音楽を聴くことに対して、目の敵にする人がなぜいるのだろうか──、と思う。
勝手な推測だが、iPodで音楽を聴くとき、iPodのご機嫌うかがいなんてする必要はまったくない。
オーディオマニアが、とくにアナログディスクをかけるときに、
別にプレーヤーだけに限らないが、スピーカーシステムなどの機嫌をうかがい鳴らすような行為は、
iPodには不要である。
それに、オーディオ機器の機嫌をうかがいながら使っていくことで、
さらに自分の使っているオーディオ機器のクセを熟知していくことで、
その使い手の中に生じてくる独自の使いこなしのノウハウも、iPodで音楽を聴くのには不要である。
いわばオーディオマニアとしての自覚とまったく無縁のところで、音楽を聴くことができる。
だから、iPodに強烈な拒否反応を示す人がいるのは当然のことなのかも、という気がしないではない。
こういう態度の人がいる一方で、iPodが登場したときに、
たしかネットで読んだのだと記憶しているが、
iPodで音楽を聴いているときiPodを手で持っていると、
わずかな振動がiPodから伝わってくる。その振動が、なんだかiPodが生きているような感じでしてきて愛着が増す、
そんな発言があった。
最初の頃のiPodは東芝製の1.8インチのハードディスクドライブが内蔵されていた。
このハードディスクドライブの回転の際に生じる振動が手に伝わってくるわけで、
iPodなんかで音楽が聴けるか、と最初からくってかかるような態度の人は、
こんなに振動していてはまともな音なんかするはずがない、と言い出すかもかもしれない。
ハードディスクドライブが発生する振動ひとつにしても、
受け手によって愛着を増すことにつながってもいくし、否定へとつながってもいく。