Date: 5月 31st, 2009
Cate: 105, BBCモニター, KEF
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BBCモニター考(その13)

現代スピーカー考(その11)の補足でもあるが、
クックは「105はフェイズリニアのスピーカーではない」といい、リニアフェイズスピーカーというのは、
再生周波数帯域内の位相特性が水平で一直線のことであり、技術的には不可能なこととも言っている。

「日本でリニアフェイズとされて売られているスピーカー」──テクニクスのスピーカーのことである──は、
クックによると、そのスピーカーの再生周波数帯域においてリニアフェイズではなく、
ある特定の帯域のみリニアフェイズだということらしい。
600〜6000Hzくらいの帯域でのみリニアフェイズを実現している、とのこと。

一方105はというと、位相特性のグラフの線は低域から高域にいくに従って下がっていくが、
再生周波数帯域内ではカーブを描いたり、段差がついたりせず、直線だということだ。

水平ではないが、帯域内では直線の位相特性の105、
600〜6000Hz内ではほぼ水平の位相特性だが、
600Hz以下では上昇カーブ、6000Hz以上では下降カーブを描くテクニクスのスピーカー、
どちらがステレオ用スピーカーとして、聴感上優位かといえば、個人的には前者だと考える。
もっとも位相特性をほとんど考慮していない設計のスピーカーでは、帯域内で急激な位相変化を起こすものもある。

クックは、さらに大切なこととして、「軸上だけでなく、軸上からはずれたところでも聴いて、
そのよしあしを判断すべき」であり、「スピーカーの周りをグルッと回って聴くことも必要」だと語っている。
しかも耳の高さもいろいろ変えてみると面白いとつけ加えている。

クックがステレオ用としてのスピーカーのありかたを意識していることが、
ここに伺えるような気がして、ひじょうに興味深い。

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