挑発するディスク(余談・その2)
期待はしていた。
だから、すこしどきどきしながらCDをCDプレーヤーのトレイにセットして、
プレイ・ボタンを押したことを思い出している。。
それが1年半以上前のこと。
マタイ受難曲という音楽の性格からして、そう何度も何度もくり返す聴くことはないのだが、
それでもこのあいだに、数回通してくり返して聴いてきた。
シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるマタイ受難曲は、
これはこれで挑発的なディスクとなっていた。
こちらの勝手な思いこみで、
シャイーに対する興味をまったくといっていいほど失ってしまっていたことを後悔している。
なぜ、こんな思いこみをしてしまったのか、いまでは思い出せないのだが、
それでも、ありがたいのは録音は、いまでも手に入れることができる。
シャイーのこれまでの軌跡をいまさらながらではなるが、追いかけてみたい、と思いつつも、
シャイーは、今年また、聴ける日が待ち遠しく感じられたディスクを出した。
やはりゲヴァントハウス管弦楽団を指揮してのもので、ベートーヴェンの交響曲全集である。
録音は2007年からはじまり2009年に終っているものが、今年全集として登場した。
5枚組の、このディスクは、いわゆる他の5枚組とはつくりが違う。
一冊の本のように仕上げられていて、その中に5枚のCDがおさめられている。
シャイーに関心を失っていたから気がつかなかったけれど、
シャイーにとってこの全集がはじめてのベートーヴェンの録音だという。
こういうのを満を持して、というのだろうか……。
そんなことを思ったりするようなディスク全体のつくりである。
昨年春、シャイーのマタイ受難曲を聴こうとしていたときよりも、
今回の方が期待は大きくなっていた。