何を欲しているのか(その16)
ウラディミール・ホロヴィッツは、
「頭はコントロールしなければならないが、人には心が必要である。感情に自由を与えなさい」
と語っている、ときく。
ストイックな姿勢で、音に臨むことが求められるときは、ある。
けれどつねにストイックでいては、
ときに感情の自由を自ら手放してしまう、ときには押し殺してしまうのではないだろうか。
音楽を聴くという行為は、感情に自由を与える行為でもあるかもしれない。
そう考えたとき、レコードでオーディオを介して音楽を聴くことは、
演奏会に行き音楽を聴くことよりも、
聴く時間、聴く音楽(曲目だけでなく演奏者もふくめて)を自分で決められるため、
適切に選択されたときの、感情が受け取る自由の純度は、より高いものである、といえるところもある。
感情の自由なくして、オーディオを楽しむことは実のところ無理なのかもしれない。
そして、別項で書いている、オーディオマニアとしての「純度」にも関係してくる。