Date: 7月 19th, 2011
Cate: BBCモニター
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BBCモニター考(余談・続×十七 K+Hのこと)

平行面が存在していたら、定在波が発生する。
物理現象である定在波は、律義なことに、どんなに狭い面積であっても平行面があれば、そこに発生する。
このくらいのごく小さな平行面ぐらい見逃してよ、といったことは通用しない。

この定在波が、スピーカーからの音に悪影響を与える。
無響室でどれだけフラットな周波数特性を誇っていたスピーカーシステムでも、
定在波がひどく発生している部屋にもちこみ、聴取位置で周波数特性を測れば低域にピーク・ディップを生じる。
このピーク・ディップを、電気的に、つまりグラフィックイコライザーによる補整で抑え込むというのは、
ひとつの手法ではあるけれども、音響的なピーク・ディップを電気的に完全に補整することはまず無理だと思う。
とくに音響的なディップは、電気的に補整することはまず無理だと思っていい。
グラフィックイコライザーの使いこなしをきちんと身につけて、じっくりと取り組むことで、
定在波による音の癖をある程度抑え込む、というよりも、うまくごまかすことはできても、解消できるとはいえない。

グラフィックイコライザーにできること、と、できないことがある、ということ。
使いこなせれば万能というわけではない、ということ。
でも、そのことを踏まえて使いこなせれば、グラフィックイコライザーは有効な手段でもある。
グラフィックイコライザーの有効性を唱える人の中には、
グラフィックイコライザーに頼り過ぎではないか、と思われる人もいる。

グラフィックイコライザーに頼り過ぎる前に、いろいろやることはある。
そうやっていくうちに気がつくのは、ひどく癖のある部屋なのに、
スピーカーシステムによって癖の感じ方に差がある、ということだ。

部屋の癖の影響をもろに受けてしまって精彩を欠く鳴り方しかできないスピーカーシステムがある一方で、
不思議なことに、それほど癖の影響を受けていないかのように鳴ってくれるスピーカーシステムがある。

これを部屋とスピーカーシステムの相性という一言で片づけてしまっていいのだろうか。
以前は指向特性の狭いスピーカーシステムのほうが部屋の影響を受けにくい、などといわれていた。
だけど、私の経験では指向特性と部屋の影響、特に定在波の悪影響を受けやすい、受けにくいは関係ない、といえる。

関係してくるのは、スピーカーシステムの累積スペクトラムとインパルス応答だと思う。

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