Date: 5月 21st, 2011
Cate: Kate Bush
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Director’s Cut(続ケイト・ブッシュのこと)

The Sensual Worldには11曲、The Red Shoesには12曲、それぞれおさめられているから、
Director’s Cutにはどの曲をおさめられているのか、まだ発表されていない時点で、
この曲とあの曲は確実だろう、と勝手に思っていた中には、This Woman’s Workがある。

しばらくして収録曲がはっきりして、This Woman’s Workがはいってくることがはっきりした。
それからまたしばらくして、BBCのラジオにて、ケイト・ブッシュのインタビューが放送されたとき、
バックにThis Woman’s Workが、短い時間ではあったが、
しかもケイト・ブッシュの話のバックだったりしていたけれど、流れていた。

はやく聴きたい、という気持がつのっていく。

Director’s Cutの6曲目にThis Woman’ Workはおさめられている。
6曲目から先に聴きたい、という気持をおさえて1曲目のFlower of The Mountainから聴きはじめる。
このFlower of The Mountainのもともとの曲名は、The Sensual Worldである。

このことが示すように、Director’ Cutにおさめられている11曲は、単なる再録音ではない。
聴いていけば、Director’s Cutというタイトルの意味が少しずつはっきりしてくる。

This Woman’s Workを、半分ほど聴いたところで、あれっ、と思った。
This Woman’s Workでもっとももりあがる、ケイト・ブッシュがThis Woman’s Workと歌う、
いわゆるサビがなくなっていることに気づくからだ。

This Woman’s Workは、Director’s Cutのなかでも、This Woman’s Workである。
The Sensual Worldのようにタイトルが変えられているわけではない。
なのに、タイトルにもなっていて、サビのところの歌詞、This Woman’s Workが、
Director’s CutのThis Woman’s Workからはなくなっている。

The Sensual WorldにおさめられていたDeeper Understandingを聴いていて、
頭の中にイメージされていたのは、パソコンの画面の前にいるのは、少年だった。
Deeper Understandingは、Director’s Cutの発売前に、映像つきで公開されていた。
そこにもパソコンの画面の前に、人が坐っている。
だが、その男は少年ではなく、中年をすぎた男性、それもかなり太った男性だ。

これをみたときから、Director’s Cutにおさめられている曲は、
それぞれに異った景色をみせてくれるという予感はあった。
あったけれども、まさかThis Woman’s Workから、
This Woman’s Workという歌詞を消し去ってしまうとは予測できなかった。
This Woman’s Workという歌詞がなくなったThis Woman’s Workへの想いは、
もとのThis Woman’s Workと同じであるし、ひろがっていく感じもある。

This Woman’s Workの歌詞をなくしてしまったのはなぜなんだろう、と思う気持は、
ほかの曲に対しても、ある。
そういう、なぜなんだろうと思う気持は、Director’s Cutをきいているときは先に立つことはない。
聴きおわり、しばらくして、なぜなんだろう、と思う。それが、またたのしい。

こういうたのしみかたができるのは、いわゆる新譜ではない「新譜」だからだ。

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