Date: 5月 20th, 2011
Cate: Kate Bush
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Director’s Cut(ケイト・ブッシュのこと)

ケイト・ブッシュの新譜が5月16日に出た。
Director’s Cutというタイトルから、ある程度想像がつくように、1989年発売のThe Sensual Worldと
1993年発売のThe Red Shoes、この2枚のアルバムから11曲を選んだものだ。

単なるベスト盤、リマスター盤ではなく、当時のトラックをそのまま使っているところがあるけれど、
ケイト・ブッシュのヴォーカルをふくめ、かなり再録音したものとでリメイクされたもの。

このDirector’ Cutを「新譜」ではない、という人もいる。
でも、クラシックをおもに聴いてきた者には、ある演奏家が同じ楽曲を、
ある年月を経てもう一度録音し直したレコード(つまり再録音のこと)も、新譜と呼ぶ。
この感覚があるから、私にとってはDirector’s Cutも「新譜」となる。

Director’s Cutには、3つのヴァージョンがある。
通常盤(CD、1枚)と、これをLPにしたもの(これは2枚組)、
それに限定盤(通常盤に、The Sensual WorldとThe Red Shoesのリマスター盤を加えた、計3枚組)。

数年前に日本で、紙ジャケットで再発売が行われたとき、もしかするとリマスター盤かも、
というウワサが発売前に流れたけれど、リマスターは行われなかった。
ケイト・ブッシュのリマスターCDは、1985年に発売されたHounds of Loveがかなりたってから、
シングル盤のみで発売された曲、12インチ・シングルで出たリミックスをくわえて出ただけである。

だからリマスター盤が聴ける、といううれしさも、今回のDirector’s Cutにはある。

そういううれしさはある一方で、
なぜ、The Sensual WorldとThe Red Shoesからのみからの選曲なのかという想いもある。

1986年に、それまで出ていた5枚のアルバムからのベスト盤、The Whole Storyは出ている。
だから、今回のDirector’s Cutは、The Whole Story以降のアルバムからという推測は、すぐに成り立つ気がする。
でも、それだけだろうか、という思いがある。

The Sensual Worldに収められているThe Fogのなかで、ケイト・ブッシュは父親に、
“Coz you’re all grown-up”と語らせている。
日本語訳では、「もう大人だろう」になっている。

この言葉と、Director’s Cutが、The Sensual WorldとThe Red Shoesからのみの選曲ということとは、
決して無関係ではない、というよりも、深く関係していることとのような気がする。

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