My Favorite Things(カセットデッキ篇・その7)
スカリー(Scully)のオープンリールデッキ、280Bもそうだった。
菅野先生がオーディオラボでの録音に使われていた280Bも、ナカミチのカセットデッキのように、
280Bで録音したテープは、280Bで再生すればいい音なのだが、同クラスの他社のオープンリールデッキで再生すると冴えない音になってしまう、と菅野先生から聞いたことがある。
実際、どのくらい違うのか、音を聴いたわけではないが、オクタヴィアレコードからオーディオラボのSACDが発売になった時の話を聞いている。
オーディオラボのマスターテープの保管場所がようやくわかり、千葉のあるところまで行かれたとのこと。テープの保管状態は良かったそうで、急いで東京に持ち帰り、再生してみたところ、冴えない音だったそうだ。
いろいろ試してみてもダメで、菅野先生に相談しに行ったところ、返ってきたのは、スカリーで録音したテープは、スカリーで再生しなければならない、ということだった。
とはいえ、その時点で菅野先生のところにも280Bはない。スチューダーやアンペックスほどメジャーなデッキではなかったこともあり、探すのも大変だった、とのこと。
やっと、あるレコード会社の倉庫に眠っている一台が見つかり、再生してみると、昨日録音したかのような生き生きとした音が鳴ってきたそうだ。
こういう例もある。なのでナカミチの、こういう面を批判する気はほとんどないが、
オープンリールテープと違い、カセットテープは誰かとやりとりすることも少なくないはず。
自分で録音したテープを誰かに渡す。その逆もある。そんな場合、どうだったのだろうか。
自分で録音したテープは自分で聴く──、それだけであればナカミチのデッキは優れた機械だろうが、カセットテープの性質を考えると、それでいいのか、と思うところはある。
スカリーの280Bは自己完結していた機器なのだろう。ナカミチのカセットデッキも、そうなのか。