Live at Casals Hall 1987-Complete & Un-edited(その2)
ホルショフスキーのカザルスホールでのライヴ盤(CD)は、
もう手元にない。
なので当時の記憶との比較でしかないのだが、
TIDALでのMQA Studioでの配信を聴いて、こんなに音、良かった(?)だった。
演奏が始まる前のホールのざわめき、拍手の音、
それからホルショフスキーが椅子を引いた時の音、
これらがとても生々しい。
まず演奏が始まる前に驚いていた。
CDを聴いていたころと、いまとではシステムがまるで違う。
そうであっても、当時のCDを他のアルバムでは聴いているのだから、
システムの音の変化は把握しているし、以前聴いているのであれば、
こんなふうに鳴るであろう、という予想はある。
ホルショフスキーのMQAでの音は、その予想よりもずっと良かった。
ホルショフスキーの演奏を聴いていたら、
ジョージ・セルの言ったことを思い出していた。
ずいぶん前に読んでことで、何に載っていたのかはもうおぼえていない。
こんなことを語っていた(はずだ)。
最近の演奏家は楽器を鳴らすことには長けている。
けれど楽器を歌わすことはどうだろうか……、
そんなことを語っていたと記憶している。
セルの時代からそうだったことは、いまの時代はどうだろうか──、
このことについて書いていくと長くなっていくのでやめておくが、
ホルショフスキーのピアノは歌っている。
MQAで聴いていると、そのことがより濃厚に感じられる。
MQAで、いまホルショフスキーを聴きなおしてほんとうによかった、といえるほどにだ。