Date: 11月 12th, 2022
Cate: 夢物語
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オーディオ 夢モノがたり(想像してみてほしい・その1)

瀬川先生が、ステレオサウンド別冊のHIGH TECHNIC SERIESの最初の号、
マルチアンプの号で書かれている。
     *
■思いがけない小遣いが入った。あなたはそれで、演奏会の切符を買うか、レコード店に入るか、それともオーディオ装置の改良にそれを使うか……
 実は、この設問には答えていただく必要は少しもないのだが、仮にもしあなたが、「むろん装置の改良に使う」とためらいなく答えたとすれば、もしかするとあなたは、マルチアンプはやらない方がいいタイプかもしれない。
 ……などというのは半分は冗談で、ほんとうに言いたいのは、実は次のようなことがらだ。
     *
当時、学生だった私は、けっこう真面目にこの設問について考えていた。
学生だったから、思いがけない小遣いも、いくらに設定しようか、そこから考えていた。

この設問は、いくつになっても考えるのは、けっこう楽しい。
大人になれば、思いがけない小遣いの金額も学生だった頃からは違ってくるし、
同じ金額であったとしても、答は違ってくる。

私は、この設問のために、ときどき宝くじを買う。
当るとはまったく思っていない。
買うのは、月に一回程度で、ナンバーズかロト6のどちらか。
しかも一口しか買わないから、一年間の出費も二千円ほど。

なぜ買うのかといえば、ナンバーズにしてもロト6しても、
一致した数字の数によって当籤金が違う。
この具体的な数字が、あれこれ想像するうえで大事だからだ。

このくらい当籤していたら──、
そんなことを想像するためだけに買っているといえる。
なので想像する期間を長く楽しむために、結果をすぐに調べたりはしない。

宝くじの当籤金もいまでは数億円になっている。
けれど、その数億円が当籤したとして、それは思いがけない小遣いではあるが、
それだけでどれだけのことがやられるのだろうか、と現実的にもなる。

たとえばきちんとしたリスニングルームを、と想像する。
広さは? 造りは? そんな具体的な考え、費用はどのくらいかかるのか。
それから欲しいと思うオーディオ機器をすべて揃えるとしよう。

たとえばマジコのM9が欲しい、という人もいる。
けれどM9だけで一億円である。これに見合う機器を揃えたら、
そしてM9の大きさと重量にたえられるだけの部屋ということ、
それらの維持費などを積み重ねていくと、数億円はあっというまになくなる。

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