五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(50CA10単段アンプ・その11)
真空管アンプの自作に強い関心をもつようになったのは、
無線と実験に載っていた伊藤先生のEdの固定バイアスのプッシュプルアンプである。
このアンプは、
ラジオ技術、初歩のラジオ、無線と実験などに掲載されていた真空管アンプとは、
とにかく佇まいがまるで違っていた。
伊藤先生以外の真空管アンプの記事は、
真空管、真空管アンプの勉強のために読んでいた、ともいえるが、
伊藤先生の記事だけは違って、これをそのまま作りたい、と初めて思ったほどだった。
つまり武末数馬氏の記事も、私にとっては、勉強のための記事であった。
武末アンプを作りたい、と思ったことはない。
(その8)の最後に書いた、
武末数馬氏のアンプに憧れたことは一度もなかった──、
とはこういう意味を含めてである。
それでも武末数馬氏の記事は割と熱心に読んでいた。
ECC81のパワーアンプは、いまでも追試してみたいと思っている。
ECC81を複数本並列接続しての出力5W+5Wのパワーアンプは、
どんな音がするのか、なかなか想像がつかない面もある。
こういっていいのなら、私は武末数馬氏のアンプの音には関心がなかった。
勉強にはなる記事とは思っていたけれど、
だからといって、そのアンプが私の求める音、満足する音を聴かせてくれるようには、
なんとなくではあったけれど感じられなかった。
別に武末数馬氏のアンプだけではない、
ほとんどの自作アンプの記事が、私にはそうだった。
それでもここで武末数馬氏の名をあげているのは、
勉強になったからである。