Ondulation
ペドロ・マテオ・ゴンザレスの“Ondulation”は、
先日行われたOTOTENでのボブ・スチュアートによるMQAのセミナーでの一枚。
スペインのユードラ・レコーズから、SACDとMQA-CDのハイブリッド盤が出ている。
オリジナルフォーマットはDSDの11.2MHzで、MQAでは352.8kHzとなっている。
“Ondulation”が鳴り終ったあと、
司会進行役の麻倉氏が、
「ボブ(スチュアート)に、BGMで聴いているのか」と訊いたら、
「いや違う、真剣に聴いている」というやりとりがあったことを話された。
“Ondulation”が鳴っているあいだ思っていた、というよりも、
思い出していたのは、メリディアンのM20の音だった。
メリディアンのM20。
ロジャースのLS3/5Aと同じ口径のウーファーを上下二発配し、中間にトゥイーター。
ユニットのそのものはLS3/5Aのそれと近い。
M20はパワーアンプを内蔵していたアクティヴ型で、専用スタンド(脚)が最初からついていた。
M20をメリディアンのCDプレーヤー207と接いで鳴ってきた音には、ころっとまいってしまった。
私の耳には、LS3/5Aの延長線上にはっきりとある音だと感じた。
LS3/5Aよりも音量も出せるし、その分スケールもある。
反面、小さなスケールから感じる精度の高さはやや薄れたように感じても、
音色は共通するところがあり、この種の音色に当時の私は弱かった。
M20は買いたい、と本気で考えていた。ずいぶん迷った。
買っておけばよかったかな、と思ったこともあるほどだ。
そのM20に共通するよさを、“Ondulation”の音楽の肌あいからも感じとれたから、
ボブ・スチュアートが、決してBGM的ではなく向い合って聴いているのは、
感覚的に理解できる。