Falstaff(その1)
ヴェルディの「ファルスタッフ」。
最初に聴いたのはジュリーニの指揮だった。
そのころは若さゆえのいきがりがあって、
イタリアオペラよりもドイツオペラ、
つまりワーグナーこそ、そんなふうに思い込んでいたから、
ヴェルディ、プッチーニのレコードよりも、
ワーグナーのレコードを優先して買っていたから、
ジュリーニのレコードが出るまで聴いたことはなかった。
しかもジュリーニの演奏は、レコードではなく、
LD(レーザーディスク)での鑑賞が先だった。
「ファルスタッフ」に前奏曲がないのは知ってはいた。
知っていたけれど、いきなり聴くと、びっくりする。
そうだったと、前奏曲、序曲もないことを思い出す。
ジュリーニの演奏はテンポが遅い。
とはいっても、ほかの指揮者の演奏を聴いていないのだから、
そんなこともわからず聴いていた(観ていた)。
LDだから、対訳がある。
あってよかった。
ないまま、ジュリーニの「ファルスタッフ」を聴いていたら、
退屈していたかもしれない。
それからも「ファルスタッフ」のディスクを数多く聴いているわけではない。
カラヤンを聴いて、アバドを聴いて、数えるぐらいである。
なんとなくバーンスタインの「ファルスタッフ」は聴かずにいた。