Date: 7月 22nd, 2021
Cate: 「ルードウィヒ・B」
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「ルードウィヒ・B」(その12)

(その11)を書いて三ヵ月ほど経ったころ、あるマンガを読んだ。
読切のマンガだった。

終り数ページになったところで、突然に、頭の中に音楽が響いてきた。
薬師丸ひろ子の歌(どの歌なのかは書かない)が、鳴ってきた。

時間にすれば、ほんの数秒であっても、
その、ほんの数秒のあいだに、薬師丸ひろ子の歌のサビの部分はしっかりと聴いた──、
そう思わせる鳴り方だった。

こういう経験は、ながく音楽を聴いてきた人ならばある、と思う。
ふとした瞬間に、音楽が頭の中に鳴り響く。
ごく短い時間なのに、一曲聴いたと思える鳴り方をする。

薬師丸ひろ子の歌が、そうやってきこえてきたときも、そうだった。
同時に、感情が昂ぶって涙がこぼれそうになった。

そのマンガから、音楽がきこえてきた──、
そうなのか、違うのか、いまのところなんともいえない。

ただ、薬師丸ひろ子の歌が頭のなかで鳴り響いたのは確かなことで、
そのことによって、読んでいたマンガのクライマックスが、
ぐっと胸に響いてきたのも事実である。

このマンガの作者が、描いているときに音楽を思い浮べていたのかどうかは、わからない。
その作者に問いたい、とも思わない。

読んでいて、薬師丸ひろ子の歌が頭のなかで鳴り響いた、ということだけが、
私にとっては大切なことであり、
他の人にとって、どうでもいいことであろうが、同意も得られなくとも、
そんなこととは関係ないところで、私は音楽を聴いていくだけだし、
読んでいくだけだ。

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