新月に出逢う(その1)
夕方、有楽町の交通会館の地階にいた。
特に用事はなかった。
あるブースの前を通ったら、クラフトアート創作人形展をやっていた。
以前だったら、こんな催し物やっているんだ、ぐらいで通りすぎていた。
会場をちらっとみたら、気になる存在があった。
それでも会場が女性だけだったら入らずに、やはり通りすぎていただろう。
男性の来場者もいた。
夕方の早い時間と、コロナ禍ということもあってなのか、
来場者はそう多くなかったので、入ってみた。
小さな人形から、けっこうな大きさの人形まで、
さまざまな人形が展示されていた。
一品モノのようで、1/3ぐらいはすでに売れていた。
私の目に留まった人形の前に立つ。
どきっ、とした。
まだ売れてなかった。
けれど値段をみると、いまの私には手が出せない。
気になる人形はいくつかあったけれど、この人形だけは特別な感じがする。
創作人形の世界に関しては、何も知らない。
昨日まで人形を興味を持つなんて考えもしなかった。
なのに、もう変ってしまった。
一目惚れみたいなものなのかもしれない。
一年前だったら衝動買いしていたことだろう。
この歳になって、まさか人形を興味をもつ、
欲しい、という思うようになるなんて、まったく想像できなかったし、
したこともなかった。
買える買えないは別として、ときめくものに出逢えた。
そういえば、今日は新月だった。