瀬川冬樹氏のこと(バッハ 無伴奏チェロ組曲・その6)
1月10日に、ヤフオク!にスチューダーのA68が出ているのを見つけた。
A68については何度か書いている。
それでも もう一度書きたい。
A68は、私がステレオサウンドで働き始めたころ、
1982年1月に、試聴室隣の倉庫に置かれていた。
瀬川先生の遺品だった。
他にマークレビンソンのLNP2とKEFのLS5/1Aがあった。
すべて自分のモノにしたい、と思ったけれど、
そんなお金はどうやっても工面できなかった。
この時ほど、お金が欲しい、と思ったことはない。
しばらくして、それらのオーディオ機器は去ってしまった。
LNP2は、その後も聴く機会はあった。
LS5/1Aは、LS5/1を自分のモノとして鳴らしたこともある。
A68だけが、その後、何の接点もない。
それもあってか、いまではA68がいちばん欲しい、と思うようになった。
そのA68が、久々にヤフオク!に出ている。
私が見逃していただけで、出品されていたのかもしれないが、
私の目に留まったのは、ほんとうにひさしぶりである。
程度は良さそうである。
天板に小さなキズがあるものの、四十年以上前のアンプであるわけだから、
その程度のことは気にならない。
欲しい! とあらためて思った。
しかも、今回は瀬川先生の誕生日にA68が、ヤフオク!に表示された。
何かの縁なのかもしれないが、
その縁をたぐり寄せることはできない。
一年前だったら、即購入していた(できていた)。
けれど、今年は厳しいだけに、数少ない機会をまた見逃すことになる。
コーネッタをA68で鳴らして、
バッハの無伴奏チェロ組曲を聴ける日が訪れるのだろうか。