オーディオと偏愛(その1)
MQA-CDで、グラシェラ・スサーナの「アドロ・サバの女王」を聴いている。
いまのところ、グラシェラ・スサーナのMQA-CDはこれ一枚だけ。
グラシェラ・スサーナのアルバム中もっとも売れた「アドロ・サバの女王」だが、
私が初めて聴いたグラシェラ・スサーナの歌は、このアルバムではない。
1976年秋に聴いた「黒い瞳はお好き?」だ。
秋といっても、かなり寒くなっていたころだ。
MQA-CDで聴いていると、そのことを思い出す。
13歳の秋、毎日、何度もくり返し聴いた。
飽きるまで聴きたい──、そう思う私である。
たとえば食べものでもそうである。
気に入った料理(店)を見つけると、立て続けに何度も通う。
そういう人は少なからずいるだろうが、
私は、気に入った料理ばかりを続けて頼む傾向がとても強い。
若いころは、いま以上にそうだった。
若いころは、いま以上に食欲旺盛だったから、
気に入ったものに、他の料理も頼む。
そうやって気に入ったものを飽きるまで、という食べ方と、
レパートリィを広げていく食べ方を両立させていた。
何もそんな食べ方をせずに、気に入った料理は、
数回に一度くらいにしておけばいいじゃないか、といわれることもあったけれど、
なんだろうか、とにかく味わい尽くしたい、と思ってしまうのか、
自分で納得できる(飽きる)まで同じものを食べてしまう。
ひどく偏っているのだろう。
それは自覚している。
そんな私だから、グラシェラ・スサーナの歌もそうだった。
そのことをMQA-CDで聴いていて思い出しているところだ。