50年(その2)
ブラムラインがいたコロムビアは、1931年にHMV(イギリス・グラモフォン)を買収して、
EMI(Electric and Musical Industries Ltd.)となる。
ドイツでは、第二次大戦中にステレオ録音ヘッドの開発に成功し、
1944年秋、ギーゼキングとローター指揮ベルリン放送管弦楽団による
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番のステレオ録音を行なっている。
不思議に思うのは、なぜフルトヴェングラーのステレオ録音が存在しないのか、である。
1981年だったか、イタリアのチェトラ・レーベルからフルトヴェングラー/スカラ座オーケストラによる
ワーグナーの「ニーベルングの指環」の全曲LPが出ると話題になったとき、
当初ステレオ録音だと発表されていた。
結局、発売されたLPはモノーラルだった。
フルトヴェングラーのステレオ録音は、ほんとうにないのか。
モノーラル録音と同時にステレオ録音も試していたとしても不思議ではない。
フルトヴェングラーのステレオ録音は、どこかにあって、それを誰かが独り占めしている……、
あくまでも妄想にしかすぎないけど、そんな気がしてならない。