オーディオ入門・考(Dittonというスピーカー・その8)
オーディオ評論家(職能家)とオーディオ評論家(商売屋)の違いは、
もうひとつはっきりしていることがある。
オーディオ評論家(職能家)は、読み手を持っている、といえるし、
読み手を生み、育てている。
オーディオ評論家(商売屋)の文章を読んでいる人はいるわけだから、
その人たちは、読み手であるはず──。
そう思われるだろうが、ほんとうに読み手といえる人たちだろうか。
単なる観客なのではなかろうか。
この十年ほど、よくいわれることがある。
CDが売れない、と。
でもライヴには人が入る、と。
音楽好きであれば、ライヴにも行くだろうし、CDも買う。
なのにCDは売れない(買わない人が多い)。
結局、ライヴに行くだけの人(CDを買わない人)は、
音楽の聴き手というより、観客でしかない。
観客であっても、その場にいて音楽を聴いているのだから、
それは十分、聴き手といえるはず──。
もちろんそうであれ、観客と聴き手との境界は、はっきりしているわけでもないし、
こんなことを書いている私も、はっきりとこうだ、と書ける自信はあまりない。
それでも、なんとなく感じている。