Date: 4月 24th, 2018
Cate: デザイン
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オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ダストカバーのこと・その21)

六本木交叉点を東京タワーに向って進む。
しばらく行くと、ステレオサウンドが以前入っていたビルがある。
さらに進むと、AXISビルがある。

私がステレオサウンドで働き出したのは1982年1月。
AXISビルは1981年9月23日にオープンしている。

出来たばかりといえる、真新しいそのビルは、
田舎から出てきて、一年弱の私にとっては、ひとりで入るには気後れしそうな感じがあった。

AXISビルの地下一階に和食の店があった。
そこには、先輩に連れられて昼食に行っていた。
いまも和食の店は入っているが、違う店である。

週に一回は必ず行っていた。
先輩と一緒だから、最初のうちは行けた、ともいえる。
慣れてきてからはひとりでも行くようになったけれど、
それでもAXISビルのすべてを見てまわるのは、まだまだ早いような気がしていた。

地下一階の和食の店のすぐ近くの店は、特にそうだった。
ガラス張りだから和食の店に行くために、その店の前を通る。
どんなモノが置いてあるのか、なんとなくわかる。

近寄り難い雰囲気を、勝手に感じていて、なかなか中に入る勇気が出てこなかった。
入ってみたい、とは思ってても、入れなかった。

若さはバカさ、で、思い切って入ってしまえばいいんだ、と言い聞かせても、
いつも素通りするばかりだった。

どのくらい素通りしただろうか。
なぜ入ってしまったのか、いまとなっては思い出せないが、
素通りしなかった日がある。

いまもはっきりと憶えているのは、ハンガーである。
なんて素敵なハンガーなのか、と思った。

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