アンチテーゼとしての「音」(その14)
寒い日が続いているし、これからも続いていく。
なんらかの暖房をつけておけば、部屋は暖まる。
けれど暖房を切ってしまうと、部屋の温度は下っていく。
寒さを意識するくらいに部屋は冷えていく。
冬だからあたりまえ。
今年の冬だけのことではない、ずっと以前の冬もそうだった。
そんな冬のある日に「オーディオ彷徨」を最初から読みはじめた。
最初は暖房をつけていた。
なのになぜかスイッチを切った。
部屋の温度は下っていく。
けれど読み進むスピードは落ちない。
読み終えたころには、かなり寒くなっていた、と記憶している。
おかしな読み方をしているな、と思われてもいい。
こんな読み方をするのは、なにも私ひとりではないからだ。
友人のAさんと以前「オーディオ彷徨」について話していた時、
彼も私と同じ読み方をしていることを知った。