オーディオは男の趣味であるからこそ(その9)
世の中には、ブラインドフォールドテストだけが信用できる試聴方だと、
バカのひとつ憶えのようにくり返す人たちがいる。
ブラインドフォールドテストは、有効な試聴方法のひとつであることは確かだが、
それはすべての試聴において有効なわけではなく、限られた条件での試聴で有効であり、
むしろそうでないことの方が多い試聴方法であり、
試聴テストを行う側の力量は、つねに試聴者の力量を上回っていなければ、
とんでもない結果が出る可能性もある。
それに音だけの判断で、ブラインドフォールドテストのみが……、といっている人たちは、
オーディオ機器を選ぶのだろうか。
音さえよければ、あとはどうでもよい。
そういうオーディオ機器の選び方をする人は、たしかにいる。
さらに安ければ、もっといい、ということになる。
見るからに安っぽい外観、
有名なオーディオ機器をパクった外観、
感触のひどいスイッチやボリュウム、
とにかく使う喜びをまったく感じさせないモノであっても、
ブラインドフォールドテストでいい音に聞こえたなら、
それがイチバンいいに決っている……、
そう思える人たちはそれでいいし、
そう思って、そういうモノをなんの抵抗もなく使える人は、
オーディオマニアではない、といいきれる。
オーディオは男の趣味であるから、徹底して、オーディオ機器というモノにこだわる。
自分の感覚すべてを満足させてくれるモノ(きわめて少ないけれど)、
そういうモノを目指してこそのオーディオという趣味である。
ただ音さえよければ(その音の判断そのものもきわめてあやしいが)、
それでいい──、それは趣味でもなんでもない。
どんなにいい音で聴きたい、と本人が思っていようと、
その彼はオーディオマニアでもなんでもない。