598というスピーカーの存在(長岡鉄男氏とpost-truth・その3)
思いついたこととは、オーディオ評論家がオーディオ店店主だったら……である。
オーディオの専門家であるオーディオ評論家。
オーディオ店店主としての知識、経験、知恵などは持ち合わせている。
商売の腕は、人によって違うだろう。
うまくやっていけそうな人、どうにも苦手とする人……、
勝手に想像してみる。
店に客が多く集まっても、モノが売れるとは必ずしもいえないし、
客があまり来ず閑散としているようでも繁盛していることだってある。
想像するに、長岡鉄男氏はオーディオ店店主であっても、繁盛させたのではなかろうか。
私が通っていた熊本市内のオーディオ店の店主が言っていた。
1980年のころだ。
オーディオ評論家でSクラスは長岡鉄男氏ひとり、
Aクラスが菅野沖彦氏と瀬川冬樹氏のふたり、
他の人たちはBクラス、Cクラスにランクされている、と。
このランクづけを行っているのは、そのオーディオ店店主ではなく、
オーディオ業界、もっといえば国内メーカーということだった。
さらにいえば、おそらく営業関係者によるランクづけであろう。
さらにランクによってギャラの違いにまで、具体的な数字を挙げていた。
どこまで事実なのかははっきりしないが、大きくはズレていないはずだ。
そのころの私にとって瀬川先生よりも長岡鉄男氏がランクが上ということがすぐには信じられなかった。
でも、国内メーカーの売れ筋の製品にどれだけの影響力を持っているかということならば、
確かに瀬川先生、菅野先生よりも長岡鉄男氏が上にランクされるのは理解できた。