アンチテーゼとしての「音」(その4)
「耳に遠く、心に近い」音と「耳に近く、心に遠い」音。
一年ほど前に書いたことだ。
後者の「耳に近く、心に遠い」音が、とても増えてきたように感じている。
ステレオサウンドで高い評価を得ているスピーカーシステムのいくつかにも、
「耳に近く、心に遠い」音のように感じている。
どのスピーカーがそうだとは書かない。
心に近い、心に遠い──ほど、主観的なことはない。
だから私にとって、私の心に近い音が、別の人にとって心に近いとは限らないし、
反対に遠いと感じることだってあるのだから。
ひとりひとりが見極めればいいことである。
同時に、私にとって「心に遠い」音を出すスピーカーを高く評価している人もまた、
私にとって「心に遠い」人ということになっているのかもしれない。