オーディオ機器を選ぶということ(購入後という視点・その6)
ステレオサウンド 64号から始まった「素晴らしき仲間たち」に登場したグループは、
スピーカーを中心としていた。
同じスピーカー、もしくは同じブランドのスピーカーを鳴らしている人たちが集まっていた。
けれどオーディオをながく続けていれば、スピーカーをかえることがある。
同じブランドの最新機種、もしくはフラッグシップモデルにすることもあれば、
違うブランドの、それまで鳴らしていたスピーカーとはまったく趣の異るモノにすることもある。
そうなったら、その人は属していたグループから離れていくのだろうか。
オーディオ仲間であっても、鳴らしているスピーカーという共通項がなくればそうなるのか。
「素晴らしき仲間たち」のグループは楽しそうだと感じながらも、
一方ではそんなことを思ってもいた。
「素晴らしき仲間たち」を担当していたのは、Nさんだった。
Nさんから聞いたところによると、いくつかのグループは解消してしまったそうだ。
どのグループだったのか聞いているけれど、ここではそのことに触れる必要はないし、
他のグループもその後どうなったのかはわからない。
あるグループがバラバラになってしまった理由は、
誰かがスピーカーを買い換えたから、というものではなかった。
ステレオサウンドに出たことだった、と聞いた。
それまでグループ内のバランスがうまくとれていたのが、
ステレオサウンドで記事になったことで崩れてしまったそうだ。
そうやって崩れてしまったバランスは、違うバランスをとることはできないのだろうか。
「素晴らしき仲間たち」の、この話を聞いたのはハタチぐらいのときだった。
そのころはそれ以上深く考えることはしなかったが、
購入後ということを考えるようになって、そういえば……、と思い出した次第だ。