私的イコライザー考(音の純度とピュアリストアプローチ・その10)
オーディオ機器で、イコライザーと付くモノは、
グラフィックイコライザー、パラメトリックイコライザー、フォノイコライザーなどがある。
イコライザー (Equalizer)とは、イコール(equal)から来ている。
イコール、すなわち等しいこと、同じもの、という意味であり、
イコライザーとは本来そういう目的のためのものだから、イコライザー (Equalizer)なのである。
フォノイコライザーを考えてみてほしい。
こまかな説明は省くが、アナログディスクでは信号処理をせずにそのままカッティングすれば、
低域になるほど大振幅の溝になってしまい、溝のピッチを大きくすることになる。
そうなればアナログディスクの収録時間はそうとうに短くなってしまう。
それに低域のそういう大振幅をカートリッジはトレースできない。
結果カッティング時に録音イコライザーをかけて、可聴帯域においては振幅が同じになるように、
低域にいくにしたがってレベルを下げる。
再生時にはその逆のイコライザーカーヴ(低域を上昇させ、高域を減衰させる)によって、
元の録音状態と同じにする(イコールにする)から、
イコライザー(イコライゼーション)なのである。
ところがグラフィックイコライザーやパラメトリックイコライザーの普及とともに、
イコライゼーションは広汎な意味を持たせれるようになってしまった。
マーク・レヴィンソンがチェロ創立時に発表したオーディオパレット。
簡単にいってしまえば6バンドのパラメトリックイコライザーなのだが、
マーク・レヴィンソンは、オーディオパレットのことをミュージックレストアラーと呼んでいた。
おそらくマーク・レヴィンソンのイコライゼーションに対する感覚は、
言葉本来の意味のイコライズ(等比)がしっかりとあったのかもしれない。
そうでなければレストアラーとはいわないはずだ。