ナロウレンジ考(その15)
昨夜書いた(その14)に、facebookにコメントをいただいた。
そこにこうあった。
美空ひばりがアルテックのA7を指して、
「このスピーカーから私の声がしている」という記事を何かで読んだことがある、というものだった。
「このスピーカーから私の声がしている」が、その記事からの正確な引用なのかははっきりとしない。
美空ひばりがいった「私の声」は「私の歌」という意味も含まれているような気もする。
自分の声は、まわりの人が聞いて認識している声とその声を発している本人が認識している声とでは、
少なからぬ違いがあることは、一度でも自分の声を録音再生したことのある人ならばわかっている。
美空ひばりが「私の声がしている」といったのは、
美空ひばり自身が聞いている本人の声と同じ声がしてきた、という意味ではないはずだ。
アナウンサーは自分の声を録音して、話し方を訓練する、ときいたことがある。
そうやって自分の声を聞くことで、まわりの人が聞いている自分の声というものを確認している。
アナウンサーがそうならば、歌手もまたそうだ。
美空ひばりほどの歌手であるならば、
自分自身で聞いている自分の声とまわりの人が聞いている美空ひばりの声の印象の差は、
はっきりと認識していても不思議ではない。
そういう美空ひばりがA7から「このスピーカーから私の声がしている」は、
「このスピーカーから私の歌がしている」と受け取っていいのではないか。
私はコメントを読んで、そう思った。