モニタースピーカー論(その1)
「正しい音はなにか?」を書いていて、モニタースピーカー論が書けるような気がしてきた。
ステレオサウンド 44号、45号はスピーカーシステムの特集だった。
46号もスピーカーの特集号だったが、44号、45号が基本的にコンシューマー用スピーカー中心だったのに対し、
46号では「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」と題して、
世界各国のモニタースピーカーの特集だった。
特集の冒頭には、
岡先生による「モニタースピーカー私論」、
菅野先生による「レコーディング・ミキサー側からみたモニタースピーカー」、
瀬川先生による「モニタースピーカーと私」が載っていた。
世の中にはMonitor Speaker、もしくはStudio Monitorと呼ばれるスピーカーシステムがある。
これらはプロ用スピーカーとも呼ばれることもある。
録音スタジオ、放送局などで使われるスピーカーシステムのことをモニタースピーカー、
もしくはスタジオモニターという。
では「モニタースピーカーとは何か?」となると、
ステレオサウンド 46号の三氏の文章をどれだけ読もうとも、
明解な答が得られたと思えない。
モニタースピーカーだからといって、
コンシューマー用スピーカーと違う方式のユニットが採用されているわけではない。
むしろコンシューマー用スピーカーのほうが、さまざまなユニットが使われているともいえる。
それでもモニタースピーカーもそうでないスピーカーも、基本的に同じといえる。
にもかかわらず、モニタースピーカーとそうでないスピーカーとの間には境界線がある。
はっきりとその境界線を見定めようとすればするほど、
その境界は曖昧なものであることに気づかされる。
それでもモニタースピーカーの定義を考えている。
いままでモニタースピーカー論は避けてきたテーマである。
まだどこまで書けるのか自信がないようなところもある。
それでも「正しい音とはなにか?」を書いてきて、
なんとなくではあるが「モニタースピーカーとは何か?」について答が得られそうな気がしている。