使いこなしのこと(その31)
オーディオは──それもステレオになってからは──、「和」の世界だとつくづく思う。
この「和」については、別項の「ハイ・フィデリティ再考」でいずれ語る。
なのに、比較試聴では、どうしても意識は「差」にとらわれがちになる。
使いこなしの過程で、何かを変更する。
そのとき、前の状態の音と変更後の音を比較して、どちらがいい音なのかを判断して選択する。
このとき耳は、「差」に強く向いてしまう。これは仕方のないことだ。
だが、「差」ばかりに向いてしまっていては、結局判断を誤ることにつながるだろう。
だからこそ、つねに「和」をこころがけておくこと。
音の「和」からオーディオの美は生まれてくる、と思っている。