同軸型はトーラスなのか(その24)
私が昔読んでいたアンプの設計の基礎について書かれた本には、
NFBをかける前のアンプのゲイン(オープンループゲイン)は、無限大が理想だとあった。
アンプの仕上りゲイン(つまりNFBをかけた状態、クローズドループゲイン)が30dBが必要だったとしたら、
オープンループゲインがほんとうに無限大であれば、無限大のNFBをかけることができ、
そのことによる性能の改善の度合ははかりしれないものがあり、NFBアンプとしては理想的な姿となる。
ではオープンループゲインを無限大は無理としても、できるだけゲインをかせぐために、
増幅率の高い素子を使い、増幅段数を増やしていけば増やせないわけではないが、
そこにはやはり無理が生じて、回路の複雑化にともない高域の位相特性の悪化、
それにTIM歪も発生し、動作そのものが不安定になりやすくなる。
そんな状態でNFBをかけたところで、優れたアンプにはほどとおい状態にしか仕上らない。
一般的な素子を使い、増幅段数も十分安定した範囲までおさえて、
つまり言いかえれば、これまで培ってきたアンプの回路をそのままいかしながら、
オープンループゲインを飛躍的にあげる手法が、テクニクスの開発したリニアフィードバック回路である。
リニアフィードバック回路は、簡単に説明するならポジティヴフィードバック(PFB)を併用した回路である。
真空管アンプ時代からPFBとNFBを組み合わせた技術はあった。
実際の製品にもとり入れられている。
ダイナコの真空管アンプもそうだし、スチューダーのオープンリールデッキのC37の再生アンプもそうだ。
ただ、その使い方はテクニクスのリニアフィードバック回路とは異なる。