Date: 10月 24th, 2014
Cate: ジャーナリズム,
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賞からの離脱(その42)

ステレオサウンド 53号のState of the Art賞で、
サンスイのプリメインアンプ、AU-D907 Limitedが選ばれている。

49号が第一回だったState of the Art賞、
プリメインアンプで最初に選ばれたのがAU-D907 Limitedだった。

私が高校二年の時、かなり無理して、このプリメインアンプを手に入れたのは、
State of the Art賞に選ばれたオーディオ機器を、
とにかくひとつ自分のモノとしたかった、ということが理由として強くあった。

いいアンプが欲しい、と思っていた。
とはいえセパレートアンプには手が出せない。
プリメインアンプで、最高のモノとなると、
そのころはトリオがケンウッド・ブランドで出したL01Aと、AU-D907 Limitedがあった。

おそらく私の望む音としてはL01Aの方かな、とは思っていたけれど、
当時、このふたつのアンプを比較試聴できるところはなかった。
AU-D907 Limitedは型番の末尾が表すように、限定品でもある。
なくなってしまったら、もう買えない。

それにL01Aは270000円、AU-D907 Limitedは175000円。
約10万円の差は、高校生の私にはどうしようもなかった。
53号ではケンウッドのチューナーL01Tは選ばれていた。
なのにL01Aは選ばれていなかった。

結局、このことが決定打となった。サンスイを選んだ。
つまり、一度もAU-D907 LimitedもL01Aも聴かずに決めた。

20万円程度の買物だろ……、という人もいようが、
1979年の高校二年の私にとっては、20万円前後は大金であった。
にも関わらず、音を聴かずに決めた。

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