598というスピーカーの存在(その27)
昔のオーディオ入門書には、スピーカーの高さについて、
3ウェイならばトゥイーターとスコーカーの中間位置を耳の高さに合せる、とか、
トゥイーターを耳に高さに合せる、とか、そんなふうに書かれていた。
いまでもこんなことをいう人がいるようだが、
実際にスピーカーを前にして、頭を上下させてみるとすぐにわかることだが、
帯域バランスがうまくとれているのは、意外にもっと下の位置にある。
1980年代後半の598のスピーカーシステム、
30cm口径のウーファーに、ハードドーム型のスコーカーとトゥイーターという構成、
クロスオーバー周波数も、メーカーによって大きく違っていたわけではない。
たいていの場合、この手のスピーカーシステムでは、
ウーファーとスコーカーの間あたりが、いいバランスできける上下位置である。
となると椅子に座って聴く場合、スピーカースタンドはかなり高さのあるものにしなければならない。
一般的な高さのスタンドでは、トゥイーターとスコーカーあたりが耳の高さに来る。
当時市販されていたスタンドを使った場合、
598のスピーカーから帯域バランスのとれた音を聴こうとしたら、
椅子ではなく床に坐って聴くことになる。
当時、598のスピーカーが家庭におさめられたときに、どういう使い方をされていたのかについては、
ほとんど知らない。
床に坐って、という人はどれだけいたのだろうか。