オーディオと金(その3)
金と振動の関係について、実際に耳で確かめられるのにSMEのトーンアームがあった。
3012-R Specialが好評だったため、SMEは3010-R、3009-Rを続けて出し、
さらに金メッキを施した3012-R Goldと3010-R Goldも続けて出した。
このGold仕様の製品が出ることは、製品が届く前から伝わっていた。
金メッキ? と私だけでなくほとんどの人が思っていた。
そんなとき、長島先生(だったと記憶している)が、
「金メッキといっても、日本と向うとではずいぶん違うから、想像しているような金メッキではないはず」
そんなことをいわれた。
実物はまさにそうだった。
イメージしていた金メッキのいやらしさは感じなかった。
3012-R Specialは持っていた。
欲しい気持はなかったといえばウソになる。でもあの時36万円だったはず。
手は出なかった。
この3012-R Goldは、オルトフォンのSPU Goldとペアで、Sound Connoisseurの表紙を飾っている。
この3012-R Goldは金メッキ以外は、どこも変更点はなかったはずだ。
だから通常の3012-R Specialと聴き比べれば、金の振動に対する効果が耳で確認できる。
まだハタチになる前だった、あのころは、良さは感じられても、無理としてまでも……、とは思わなかったが、
いま聴いてしまったら、どうなるかは、なんともいえない。
そういう、金ならではの魅力はあった。