Date: 9月 17th, 2014
Cate: 素材
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オーディオと金(その2)

接点に使用した時の、それぞれの金属素材の特質を考えると、
AC電源関係の接点に金メッキをする意味は、いったいなんだろう、といいたくなる。

金メッキがされていると、それだけて高級そうに見える。
見えるから、それでいい、と満足できる人ならば金メッキのモノを購入すればいい。
だが現実にAC電源関係の接点に流れる電流値がどのくらいか計算すれば、
金メッキが、この部分にいかに不向きな接点材料であるからがわかる。

電気的にはそうなのだが、機械的に見た場合、
金はやわらかくひじょうに薄く伸ばせる素材であることはよく知られている。
金メッキを施すか施さないかで、その部分の振動モードは変化している、とはいえる。
そういうダンプ効果は認められるけれど、接点材料としてはどうか、ともう一度考えてほしいところだ。

金の振動を抑えることに関しては、以前、井上先生から興味深い話をきいている。
あるメーカーがシャーシーの試作を行った際に、
鉄ベースに銅下メッキをして、そのうえに金メッキをしたものと通常シャーシーとの比較試聴をされた話だった。

アンプの中身はまったく同じ。異るのはシャーシーの材質と処理。
これが驚くほどの音の差であり、鉄・銅・金のシャーシーの音の良さはほんとうによくて、
いまでも忘れられない、といったふうに話された。

しかもこの話は井上先生から何度もきいている。
それだけ井上先生の中に印象に残っている音だということでもある。

ただこのシャーシーは銅下メッキを施しているから、銅が金を吸収してしまうため、
かなりの量の金を使うことになり、コスト的に不採算で結局は市販品に採用されることはなかった。

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