オーディオと金(その1)
オーディオと金、といっても、金は(かね)ではなく、素材の金(gold)である。
オーディオ機器に金が採用されることになったのは、
RCAコネクターの金メッキが早かった。
それまでニッケルメッキだったRCAプラグとジャックが、一挙に金色になっていたのを憶えている。
ちょうど私がオーディオに興味を餅始めた時期とだいたいそれは重なっている。
この金メッキの流行りは日本から起っている。
当時の海外製のアンプは本国ではニッケルメッキなのに、
日本に輸入される製品は金メッキ仕様になっているモノもあった。
たとえばRFエンタープライゼスが輸入していたAGIのコントロールアンプ511もそうだった。
正規輸入品と並行輸入品はフロントパネルの色も違っていたが、
RCAジャックの色も違っていたのである。
なぜ金だったのか。
当時講読していた無線と実験に、興味深い記事(見開き2ページだった)が載った。
接点材料としての流せる電流値が表にまとめられていた。
なにかの専門書からの引用であったようだが、
確かに金は微小電流の流れる部分への使用は納得できる値が、その表にはあった。
30数年前のことだから値まではもう憶えいないが、
金は微小電流向きであり、銀は大電流向き、銅はその中間、
微小電流から大電流まで、という理想的な接点材料は水銀だった。
ことわっておくが、これは線材としての電流値ではなく、あくまでも接点材料としての値である。