サイズ考(その11)
セレッションのSL6をはじめて聴いたのは、ステレオサウンドの新製品紹介の記事の試聴で、だ。
山中先生に試聴をお願いしていた新製品のいくつか聴いてもらい、最後に鳴らしたのがSL6である。
当時の試聴室のリファレンススピーカーのJBL(4343BWXだったり4344だったりしていた)を
どかした場所に専用スタンドの上に乗せたSL6を設置した。
小型スピーカー・イコール・LS3/5Aの印象が強いころだっただけに、
「この位置で、ほんとうに大丈夫?」と訝りながらも、出てきた音には素直に驚いた。
SL6が登場したときは、まだCDが出ておらずアナログディスクでの試聴なのだが、
ウーファーのフラつきがなく、いささかの不安も感じさせずに安定した低音を響かせる。
LS3/5Aよりもサイズはたしかに大きいが、あきらかに時代の違いが現われている。
とにかく音だけ聴いていると、目の前にあるSL6のサイズを想像できない。
山中先生も興奮されている。
「これで鳴らしてみようよ」と言われた。
さっきまでJBLで聴いていたクレルのモノーラルパワーアンプのKMA200は、
A級動作で200Wの出力をもつ、筐体の大きさはSL6よりも大きい。
価格もSL6がペアで156000円に対し、KMA200はたしか258万円だった。
ここでもう一度驚くことになる。