音の聴き方(その1)
一緒に音を聴いたことのある人から、ときどき受ける質問が、
「どこに注意して音を聴いているのか」である。
いわゆる音のチェックポイントはどこなのか、についての質問だ。
こういうところに注意して聴いている、と答えられるようでいて、
実はそうでない。
自分の愛聴盤を持ってきての試聴でも、
いわゆる聴きどころを決めているわけではない。
まして、その場で聴かされたディスクでは、聴きどころなど最初からない。
意識せずとも聴感上のS/N比、音のひろがり方はチェックポイントといえばそうだが、
これに関しては、いまはほとんどの人がそうしているはず。
その他には、というと、五年以上前に書いたことを、もう一度書くことになる。
「井上卓也氏のこと(その11)」を読んでいただければいいことだが、
リンクをはったところで読んでくれる人はそう多くないことはわかっているので、
もう一度書いておこう。
ここ(チェックポイント)を聴いてやろう、という意気込みをまず捨てることである。
前のめりに構えてしまうことが、音を聴くとき、いちばんやっかいである。