チューナー・デザイン考(その9)

長島先生のアンプ遍歴は、ステレオサウンド 61号に載っている。
私がステレオサウンドに入ったころ、長島先生は岡先生や山中先生から、トラさんと呼ばれていた。

なぜトラさんなのか、疑問だった。
そのころ長島先生はコーヒーといえば、トアルコトラジャばかり注文されていた。
まさか、それでトラさんということはないだろうとは思っていたけれど、
トラさんのトラの意味がわからなかった。

結局、山中先生にだったと記憶しているが、「長島先生はなぜトラさんなんですか」ときいた。
答は「最初にトランジスターに飛びついたから」だった。

そういえばステレオサウンド 61号の記事にも、かなり早い時期からトランジスターについて勉強し、
無線と実験に連載記事を書かれていたことを思い出した。

私がステレオサウンドを読みはじめたころは、すでに長島先生は真空管アンプ派の人だと思っていたから、
トランジスターのトラとは思いもしなかった。

その長島先生が使われていたルホックスのチューナーFM-A76はトランジスター式である。
長島先生はマランツのModel 7、Model 2を愛用されていた。
このマランツの管球式アンプに惚れ込まれていた。

きっと長島先生はチューナーもマランツのModel 10Bで揃えられたかったのだと思う。
そして長島先生が10Bを手に入れられたら、きっと各部の調整をしっかりとやられていたはずだ。

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