ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その9)
「コンポーネントステレオの世界 ’77」の組合せの集合写真には、かならずレコードのジャケットも写っている。
この組合せの企画そのものが、
読者からの「こういうレコードを楽しむための装置を選んでほしい」という手紙に応えるためのものだから、
選ばれた読者がステレオサウンドの試聴室に愛聴盤を携えて来て、試聴をすすめていくかたちで行われている。
だから写真には、その愛聴盤が、そのレコードのために選ばれたコンポーネントとともに写真におさまっているわけだ。
そこに見出しがつく。
当時は、見出しまでくり返し読んでいた。
文字数にしてみればながいものでも100文字にみたない。
井上先生のブリガンタンの組合せ(つまり女性ヴォーカルのための組合せ)には、こんな見出しがついていた。
*
聴くもののこころに
ひっそりと語りかけてくる〈歌〉を
AGI+QUADで鳴らす
ブリガンタンの
ぬくもりのある音で味わう
*
写真には、ジャニス・イアンの「愛の回想録」と、
その陰にほとんど隠れてしまっているが山崎ハコの「綱渡り」の2枚。
そしてブリガンタンの前にQUADの405が置かれ、そのあいだにロジャースのLS3/5Aが置いてある。
これだけあれば、当時はイメージを思う存分ふくらませることができた。
そのイメージが、どれだけ正確などうかは別として、だが。