Date: 8月 6th, 2010
Cate: High Fidelity
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ハイ・フィデリティ再考(その19)

もう10年以上前のことになるだろうか、記憶が薄れているところもあって、
詳細なところは少々違ってしまっているかもしれないが、
あるテレビ番組で、海外のバレリーナ(世界的に有名な人だった)が答えていた。

「最良・最高のバレエの教師は、ビデオカメラである」と。
「ビデオカメラがあることが、昔の人たちともっとも違うところでもある」とも続けていた。

ビデオカメラで自分の練習、踊りを録画して再生することで、冷静に正確に自分の踊りを、自分自身で判断できる。
誰かの目をとおしての誰かの意見ではなく、自分の目で自分の踊りをすぐさま観察できる。

高城重躬氏が録音されるのは、ご自身の演奏を録音・再生されるのは、なぜかを考えるにあたって、
このバレリーナの話が、頭に浮んできた。

演奏しながら、もちろんいま出している音を聴いてはいる。
でも、それを録音して、スピーカーから再生した音を聴くという行為には、多少の違いがある。

冷静に正確に自分の演奏を捉えたければ、やはりいちど録音してみるのが、
いまのところ、これにまさる方法はないだろうし、これから先もずっとそのはずだ。

音楽を演奏している自分に酔いしれたい、とか、引いていることだけに満足している、
それだけで充分だという人には、録音はむしろアラをさらすことになり、むしろ遠ざけたいだろうが、
演奏のテクニックをより向上させたい人にとって、録音して聴く行為は不可欠のように思えてくる。

高城氏にとっての録音は、そういう意味あいが強かったのだろうか。

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