Date: 4月 14th, 2014
Cate: 香・薫・馨
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便利であっても(その4)

匂いといえば、思い出すことがある。
田舎にいたころは輸入盤を扱っているレコード店は身近になかった。

東京に少しでも早く出て来たかったのは、輸入レコードを専門に扱う店がいくつもあったことも理由のひとつである。
どの店に最初に行ったのかはもう忘れてしまっている。
けれど、銀座コリドー街にあったハルモニアには、かなり早い時期に行っていた。
ハルモニアが最初だったかもしれない。

ハルモニアはそれほど大きな店舗ではない。
広さだけでいえばハルモニアよりも大きな店は、1980年代の東京にはいくつもあった。
それでもここでハルモニアを取り上げるのは、
ハルモニアにはじめて入ったときの匂いのことを、やはり憶えていて、それを思い出したからである。

ハルモニアは輸入盤ばかりを扱っているから、
そこでの匂いは輸入盤による匂いといっていいはず。

輸入盤一枚でも鼻を近づければ匂いは嗅げる。
けれどハルモニアぐらいの規模の店で、あれだけの枚数の輸入盤がそこにあれば、
その匂いの濃厚さは、田舎の国内盤ばかりを扱っていたレコード店しか知らなかった私には、
衝撃に近かったのかもしれない。
だからこうして思い出して、ここに書いているのだから。

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