「基本」(その6)
オーディオの「基本」とは、いったいどういうことがあるのだろうか。
オーディオは科学技術の産物であるから、そういった基本はある。
基本は、でもそれだけではない。
つくり手側の基本もあれば、つかい手側の基本もある。
最近、なんとなくではあるが感じているのが、つかい手側の基本が、ないがしろにされがちなこと。
このことを、いま強く感じるのが、いわゆるPCオーディオと呼ばれているものに対して、である。
オーディオとコンピューターの融合については、積極的でありたい。
でも、以前書いているように、PCオーディオという呼称は、はっきりいって気に喰わない。
だから、基本がないがしろにされている、といいたいのではない。
オーディオの基本は、やはり「美」を求めることであるはず。
このことを意図的に無視しているのか、それとも、もともと考えていないのか、
「美」のまったくといっていいほど存在しないOSを使い音楽を聴くという行為が、
私にはまったく理解できない。オーディオの大事な「基本」を、どこかに追いやったまま、
音を語るのはただ虚しいだけではないのか。