何を欲しているのか(その4)
自作とはすこし異るけれど、10万円で可能なことのひとつに、録音することがある。
昔流行ったナマ録は、オープンリールデッキに、プロ用のマイクロフォン、密閉型のヘッドフォンの三点セットが、
本格的なことを目指す者にとって、ひとつの憧れとして存在していた。
そこまでいかなくとも、ナマ録に必要な機材を揃えるのは、決して手軽なことではなかった。
それだけの機材を揃えてしまったら、何を録るのか、ということが、大きなウェイトを占めてくるようになるだろう。
立派な機材に見合う音源、ということになると、そうかんたんに機会はないだろう。
手身近なところで録音しながら、録音技術を身につけていくことも大事なことのはずなのに、
機材が立派すぎると、そういう身近なものを録るのが恥ずかしく思えてくるような気もしないではない。
そのころに較べると、いま録音機材(テープレコーダー)の現行製品は、ほとんどない。
だが、当時では考えられなかったほど、手軽に録音できるモノが登場してきている。
マイクロフォンまで内蔵しており、メモリーに録音してタイプのものが、ソニーやローランドから出ている。
ソニーのPCM-M10にいたっては、96kHz、24ビットのPCM録音が可能で、実売価格は3万円前後。
その上級機のPCM-D50でも、約2倍程度の価格で購入できる。
ローランドの製品にしても、ソニーの製品にしても、一台だけで録音ができる。しかもサイズの面でも魅力がある。
もっとも小型のPCM-M10は、単三の電池込みの重量が187g。ポケットに収まるサイズだ。