Date: 5月 29th, 2010
Cate: ステレオサウンド特集
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「いい音を身近に」(その8)

キャスター付の白い台の上に置かれたコンサイス・コンポとビクターのスピーカーとの組合せで、
黒田先生が、最初にかけられたレコードは、シンガーズ・アンリミテッドの「フィーリング・フリー」。

そのつぎにイ・ムジチのモーツァルトにかわり、ベン・シンドラ、さらにケイト・ブッシュのレコードというように、
いろんなレコードを、5時間聴き続けた、ということを、ステレオサウンドの47号に書かれている。
     *
キャスターのついた白い台の前ですごした5時間の間、そのときかけるレコードによって、耳からスピーカーまでの距離をさまざまにかえた。もっとも、それはかえようとしてかえたのではなく、後から気がついたら、それぞれのレコードによって、台を、手前にひきつけたり、むこうにおしやったりしてきいていたのがわかった。むろん、そういうきき方は、普段のきき方と、少なからずちがっている。
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この黒田先生の文章を読んだとき、私は15歳。
このきき方に、すごくあこがれたことを、いまでもはっきりと思い出すことができる。

そして、こういう「きき方」ができるシステムを、つねに一組用意しておこう、とも思っていた。

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