程々の音(その7)
ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」に載っていた
タンノイ・コーネッタの部屋は印象に残っていた。
あまりモノがない六畳という広さ。
このころ15歳の私にとって、最も身近なリスニングルームに思えたからだ。
高校を卒業して進学。
それも親元を離れて、ということになれば、
こういう部屋でひとり暮らしを始めるんだろうな。
本とレコード、
それにオーディオ。
あとは最低限の家具。
これだけあれば不満はない。
若いときであれば、これだけで暮らしていけるというものだ。
コーネッタ、いいな、と思い眺めていた。
これがもし他のスピーカーシステムだったら、
たとえば国産のブックシェルフ型とか、アメリカのブックシェルフだったら。
ブックシェルフではなく、フロアー型システムだったら、
印象は大きく変っていて、30年以上も経った今、
こうやって思い出して書いたりはしなかったはずだ。
タンノイの、このサイズの同軸型ユニットは、
私にとって最上級機の15インチのユニットと同じくらいに存在感をもっている。
これも五味先生の「五味オーディオ教室」を読んでいたからである。