音について(その3)
スピーカーの振動板が前に動いたときに、
振動板の前面にある空気を押し出しているのであれば、
振動板の動くスピードが速ければ速いほど、
押し出される空気のスピードも増す事になる。
それがもし音だとすれば、
音速が周波数や振動板の振幅に関係なく、同じであることと矛盾することになる。
こんな簡単なこと、基本的なことが、
オーディオに関心を持ちはじめたころ、すぐには理解できなかった。
どうしても振動板が前に動く、
空気が押し出される、
それが音になる、と捉えてしまっていた。
振動板の動きがどうして音となるのか。
それは水面に、何か小さな物が落ちたときに生じる波紋を思い出せばいい。
波紋が周囲に広がっていく。
けれど中心にあった水が波紋とともに周囲に移動しているわけではない。
あくまでも波紋が周囲に広がっていく(伝わっていく)。
音も同じである。
これにすぐには気づけなかった。
まわりにオーディオ、音に詳しい人がいれば、
疑問をぶつけることもできたのだが、当時の私のまわりには誰もいなかった。
だから自分で考えて気づくしかなかった。