モノと「モノ」(その14)
オーディオが、もしパソコンの20年間と同じ速度で進歩していたら……、
そんなことを夢想しないわけでもないけれど、一緒くたに考えることではないことはわかっている。
とにかくパソコンの進歩は大きかった。
大きかったけれど、それでも20年前と変らぬことは、
パソコンに前に人がすわり、キーボードやマウスを操作してパソコンに対して、
なんらかの指示を出さなければ、
どんなに高性能なパソコンに、どんなに多機能なアプリケーションをどれだけインストールしていようと、
勝手に何かを、そのパソコンの所有者の代りにやってくれるわけではない。
毎日、こうやってブログを書いていて、
これまでにけっこうな文字数を入力していっているけれど、
だからといって私の代りにパソコンがこれまでの入力履歴をベースにして勝手に文章をつくり出してはくれない。
パソコンという様々な処理を可能にしてくれる計算器に、
ある目的、方向性を定めるのがアプリケーションであり、
ハードウェアとソフトウェアの組合せによって、道具たり得る、となる道具なのだろう。
それではオーディオにおけるソフトウェアは、
パソコンにおけるアプリケーション的な意味での道具的要素をまったくもたないのだろうか。