オーディオの「本」(池田圭氏の「音の夕映え」)
別項で池田圭氏の年齢を知りたくて、久しぶりに「音の夕映え」を取り出した。
奥付を見た。
そこに初版千五百部、再版千部、とあった。
「音の夕映え」の初版は1979年に出ている。
再版は1981年に出た。
1981年に「音の夕映え」を買った時に、奥付で、この数字は見ていた。
けれど、そのときはオーディオの書籍がどれだけの数が出るのかという知識はまったくなかった。
だから、ただ1500部と1000部、合せて2500部。私が持っている「音の夕映え」は2500分の1冊なのか、
ぐらいのことしか思っていなかった。
1979年はオーディオブームの全盛期は過ぎてはいたものの、
まだまだオーディオには勢いがあったように感じていた。
そのころ出た「音の夕映え」の初版が1500部なのか……、といまはおもう。
池田圭氏は、ステレオサウンドにもときおり書かれてはいても、
メインの筆者のではなかった。
とはいえ「音の夕映え」の初版1500部は少ない、と感じる。
「音の夕映え」は2500円である。
「音の夕映え」を手にとった人ならばわかるはずだが、
この本のつくりは池田圭氏のわがままをかなえている。
「音の夕映え」には、最新のオーディオ機器のことはほとんど出てこない。
そういう本だからこれだけの数しか売れなかったのだとしたら、
──なんだろう、いまのオーディオのある一面と重なってきて、
虚しさみたいなものを感じないではいられない。